2023年12月15日、薩摩川内市樋脇町へ車を走らせ向かった先は、豊かな自然に囲まれた広大な敷地にたたずむ、焼酎醸造所。
今回、田苑酒造の松元さん、松下さんにお話を伺い、実際に醸造所を見学させていただきました。

焼酎造りの鍵となるブレンド
松下さん：焼酎造りにおけるこだわりは、蔵の中で歳月を重ねて熟成させる長期貯蔵と独自の製法である音楽仕込み、そして、原酒のブレンドです。長期貯蔵はとても手間のかかるものですが、時間をかけた分だけ熟成が進み、まろやかな味わいが生まれます。ブレンド技術とは、いくつもの原酒を組み合わせ、それぞれの原酒が持つ性質やその絶妙な比率をブレンダーの利き酒によって見極めるもので、そのバランスが非常に重要なんです。
音楽仕込みによって味わいにはどのような変化があるのでしょうか
松下さん：音楽を聴かせる前の焼酎は水分子とアルコール分子のぞれぞれの集団を形成していますが、音楽による振動によって刺激が加わると、それぞれの分子の集団が壊れて小さくなり、アルコール分子のまわりを水分子が包み込むようにして、アルコールの持つピリッとした刺激や、苦みを感じさせない、まろやかでより風味豊かな焼酎へと変化するのです。

松元さん：実際に飲んでもらったらわかると思いますが、香りが良く、苦手な人が多い焼酎独特の香りを感じないという点も、飲みやすさのポイントだと思います。実際に音楽仕込みの焼酎とそうでないものの２つを編集者がブラインドで飲み比べさせていただきました。当てられるかドキドキしていましたが…
全然違う！音楽仕込みの方は断然まろやかで優しい口あたり。その違いに思わずびっくり。
「実はこのクイズ、9割の方が正解します」というお話も納得の味でした。

最後に、焼酎造りを通して地域を盛り上げたいと日々精進するお二人に、地域への想いをお聞きしました。
松元さん：かっこいい焼酎で薩摩川内を盛り上げたい！
味やパッケージにこだわった田園酒造ならではのかっこいい焼酎を地域の皆さんに届けたいです。
松下さん：（薩摩川内市は）自然と人情豊かな町です。
私は、この町の人の温かさや自然に癒されながら日々仕事をしていて、歴史ある風景も気に入っています。
とそれぞれの想いを語ってくださいました。
焼酎造りに情熱を注ぐ田園酒造のお二方の想いがのせられて、より一層味わい深くなっていくのではないかと感じました。